作品概要
タイトル | スノーピアサー |
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監督 | ポン・ジュノ (『パラサイト 半地下の家族』など) |
脚本 | ポン・ジュノ ケリー・マスターソン |
出演 | クリス・エヴァンス ソン・ガンホ 他 |
劇場公開日(日本) | 2014年2月7日 |
配給(日本) | ビターズ・エンド 角川映画 |
観賞劇場・媒体 | Amazon Prime Video ※Prime会員特典作品 |
ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』をきっかけに、長年食わず嫌いだった韓国映画にハマってしまいました。
『パラサイト 半地下の家族』は、私の周りでは賛否両方の意見がありましたが、私は素直に「面白い」「すごい」という感想でした。
あのスケールの映画は、今の日本ではなかなか作れないでしょう。
内容に賛否があろうとも、「非英語作品初のアカデミー賞受賞」という実績は、ケチのつけようがありません。
ポン・ジュノ監督の作品は、何本かAmazon Prime会員特典作品になっています。
今回はその中の1本『スノーピアサー』のレビューです。
大部分のセリフは英語、メインキャストもソン・ガンホと娘役のコ・アソン以外はほぼ欧米人です。
スケールの大きなSF映画です。
伏線の張り方と回収も素晴らしく、二度見直すと更に面白くなる作品でした。
あらすじ
2031年。
温暖化を食い止めるために化学薬品が散布され、地球は氷と雪に埋め尽くされた。
生き残った人類は、永久機関で動き続ける列車「スノーピアサー」に移り住んでいる。
「スノーピアサー」では前方車両に住む上流階級が富を独占し、カーティス(クリス・エヴァンス)たち最後尾に住む下流階級の人間は、奴隷のような扱いを受けていた。
理不尽な階級支配の打倒を目指し、カーティスは仲間たちと共に反乱を企てる。
カーティスは前方車両へ続く電子ドアを解錠するために、拘束されていたエンジニアのミンス(ソン・ガンホ)を解放する。
カーティスたちの最終目的地は先頭車両。
そこには「スノーピアサー」の開発者であり、この階級社会の頂点に君臨するウィルフォード(エド・ハリス)がいる。
多くの犠牲を出しながら、前方車両へと進んでいくカーティスたちが最後に目にするものとは…。
レビュー
ポン・ジュノ作品の特徴として、3つ挙げたいと思います。
- 主人公は下流階級に属している
- グロテスクな描写とユーモラスな表現のバランス
- 伏線、そして伏線
下流階級の主人公
『パラサイト 半地下の家族』も下流階級に属する家族が主人公でしたが、今回の主人公・カーティスはもう完全に奴隷です。
最後尾の人間たちは、上流階級から搾取されるがままの生活を余儀なくされています。
自分の子どもが目の前で拉致されようとも、反抗は許されません。
カーティスはそんな理不尽な階級支配を打倒しようと立ち上がります。
上流階級=悪、下層階級=善という構図が示されるわけですが、そんな単純な二元論ではなかったことが後々判明します。
グロテスクな描写とユーモラスな表現
思わず目を背けてしまうほどの、グロテスクな描写がてんこ盛りです。
子どもを奪われまいと抵抗した父親に与えられる懲罰、下層階級の唯一の食事であるプロテインゼリーの原料などなど、序盤から惜しみなくぶっ込んできます。
それにしても、こんなにグロテスクな表現は、邦画ではなかなかお目に掛かれません。
個人的にグロいのは好きではないのですが、たまには邦画もこれくらいやっても良いんじゃないかなとも思います。
それに対して、ユーモア要素は他のポン・ジュノ作品に比べて少なめです。
それでもミンス親子が麻薬中毒者という設定や、ぶっ飛んでる教育現場のシーンなんかは笑ってしまいました。
伏線、そして伏線
この作品では大量の伏線が張り巡らされています。
人物設定や会話はもちろん、小道具や風景、アクションシーン真っ只中でふと緩む1カット…。
全てが伏線なんじゃないかと思うくらい、仕掛けがなされています。
そしてラスト30分の怒涛の伏線回収。
情報量が多すぎて、私は一度の観賞では全て処理しきれませんでした。
二度観ることによって、序盤の何気ない会話など、一回観ただけではまず覚えていない場面に秘められた意味に気付きます。
本当によく練られた構成だなと感じました。
まとめ
何度も言いますが、二度観るのがオススメです。
ポン・ジュノ監督の作品は、『グエムルー漢江の怪物』『母なる証明』もPrime会員特典作品になっています。
どちらもかなり面白い作品です。


すごいぞポン・ジュノ。