こんにちは。映画会社で働くろーれる(@Laurel_DKO0930)です。
- この映画、自分だったらもっと面白くできるのに…
- めっちゃ面白い話を思いついた!これ大ヒットするんじゃね?
というようなアイデア豊富な映画ファンの皆さんへ。
日本の映像業界では、俳優さんやスタッフは著作権(とそこから発生するお金)を貰えませんが、監督と脚本家は権利が発生します!
夢の印税生活を目指して、脚本家養成学校『シナリオセンター』で脚本を勉強してみませんか?
シナリオセンターの通信講座基礎科を実際に受講した感想を記事にしました。
【シナリオ・センター通信講座基礎科】
- 映像脚本の書き方を1から勉強したい人にオススメ
- 通信講座なので、自分のペースで学習することが可能
- 手書き原稿を郵送でしか提出できないのはネック
シナリオ・センターとは
シナリオ・センターとは、東宝作品の映画を中心に書いていた脚本家・新井一さん(1915〜1997)が設立した、シナリオライター養成学校です。
東京の北青山と大阪の西中島に教室があり、シナリオ講座が開かれています。
“日本随一のシナリオライター養成スクール”
「シナリオを本格的に学びたい」「趣味や教養としてシナリオを学びたい」「小説にも挑戦したい」方向けのシナリオコースでは、目的や年齢に関わらず60,000人以上(2017年4月現在)が学び、シナリオコンクールの9割をシナリオ・センターの受講生が席巻し、3,000人以上がデビュー、600人以上が第一線でプロとして活躍しています。
シナリオ・センターHPより https://www.scenario.co.jp/about/
シナリオ・センターのHPには脚本賞の公募情報なども掲載されており、チェックするだけでも非常に役に立ちます。
シナリオ・センター通信講座基礎科の概要
私が受講したのは、通信講座基礎科というコースです。
という方はぜひ参考にしてください。
申込方法:シナリオ・センターのHPから資料を請求後、オンラインで申込
料金:30,800円(税込・6ヶ月)
※銀行振込にて支払い
※課題提出と返送用の切手代(全12回で3,000円強)は別途負担
※受講期間がオーバーした場合、5,100円で6ヶ月延長可能
教材:「シナリオの基礎技術」、「シナリオの課題とテキストⅠ・Ⅱ」、「月刊シナリオ教室」6ヶ月分を毎月送付、原稿用紙(400字詰原稿用紙)

課題内容:400字詰原稿用紙1〜20枚の課題を計12回提出→講師が添削し返送
その他:東京校のスクーリングに2日間参加可能、会員限定のYouTube講座(無料・有料)
通信基礎科の講座内容
「シナリオの課題とテキスト」の各単元は、冒頭に課題内容、続いて脚本術の解説という構成になっています。
解説の内容は同送される「シナリオの基礎技術」とほぼ同じ内容です。
勉強の進め方の流れはこんな感じになります。
- 「シナリオの課題とテキスト」「シナリオの基礎技術」を読む【基礎知識のインプット】
- 創作課題(全12回)に取り組む【アウトプット】
- 添削が返ってくるので復習【知識が足りなかった点をインプット】
以下繰り返し
全12回の課題内容はこのようになっています。
- 「シナリオの書き方」1枚 ※原稿用紙の書き方について
- 「身辺雑記」2枚 ※シナリオ形式の書き方について
- 「迷っている男」3枚 ※「葛藤」について
- 「イライラしている人」3枚 ※「葛藤」「欲望」について
- 「出会い」4枚 ※ファーストシーンの書き方について
- 「ケンカまたはラブシーン」5枚 ※感情が一番高揚するシーンについて
- 「別れ」6枚 ※余韻のあるラストシーンについて
- 「万年筆」7枚 ※小道具を使った心理描写について
- 「おじさん」10枚 ※魅力的な登場人物について
- 「非常口」15枚 ※非日常の場面描写について
- 「一年間」20枚 ※時間経過の処理について
- 「卒業」20枚 ※シャレード・間接表現について
「 」は、その回のお題です。
枚数は200字詰原稿用紙の枚数。
※は、その課題の狙いです。
最初の2回は原稿用紙の使い方や、セリフ・ト書きといった脚本独特の形式を学習します。
創作が始まるのは第3回以降です。
葛藤や人物造形など、脚本術の本題を本格的に学習していきます。
課題の作成・提出
実際に課題を書いてみます。
第7回の課題「別れ」(原稿用紙6枚)。
親の離婚で転校することになった幼馴染の女の子に、勇気を出して話しかける小学生男子の話を書きました。
PCで書いた脚本を、原稿用紙に手書きで写していきます。
本文以外にも表紙・人物表・裏表紙を原稿用紙に書きます。
表紙→人物表→裏表紙と重ね、質問などを記載する提出用の表紙を一番上にしてホチキス留めします。
- 本文
- 提出原稿完成形
質問事項は、紙数が足りないと思ったけど無駄な箇所もまだ残っているかも、というようなことを書きました。
課題の返送
約2週間で課題が帰ってきました。
- 本文の朱入れ
- 詳細な添削は別紙に
本文の朱入れはそんなに多くありません。
添削のメインは、別紙にまとめられた講評です。
今回ご指導いただいた内容をまとめました。
- 人物表の名前が間違っている(単なる誤字)
- 柱のカッコ書きは照明の指定であり、時間経過は本文で表現する
- 無理矢理な手法に頼らずに、人物の心情を描けている
- 小道具(=すみっコぐらしのキーホルダー)の使い方が○
- 考えられたセリフがたくさんある
ページ数が足りず消化不良という手応えだったのですが、褒められると悪い気持ちはしませんね。
人物表のミスは単なる誤字とはいえ、要注意です。
通信講座基礎科を受講した感想
受講してみて良かった点と不満点をまとめました。
受講して良かった点
映像脚本独自のルールを学習できる
映像の脚本は、小説や演劇の脚本とはまた違った形式を持っています。
小説は地の文で人物の感情も何もかも説明できます。
貴志は晃をキザで嫌な奴だと思った。涼子と慣れ慣れしく話している様子を見るとイライラしてきたのだった。
演劇はセリフ(と大袈裟なくらいのアクション)で表さないと、登場人物の感情を観客に伝えることができません。
貴志、こっそり呟くように、
貴志「ちぇっ、何だあいつ。瓢箪が腐ったみたいな顔してるくせに、涼子に色目を使うなんて…」
映像も演劇と同じくセリフが重要になってくるものの、それ以上に映像で説明することが大事になってきます。
貴志、少し離れた席に座る晃と涼子をチラッと見る。
晃と涼子が楽しそうに話をしている。
机の下、貴志が激しく貧乏ゆすりをしている
貴志の表情や貧乏ゆすりをしている様子を映せば「嫉妬でイライラしている」ということが、セリフ無しでもわかりますよね。
しゃべらなくても登場人物の心情を映像で描写する脚本は「上手い」と言われたりします。
逆に全てをセリフで説明すると、不自然になってしまうことも多いです。
あるサスペンスドラマで、「よし!真相を聞き出してやる!」と主人公が独り言を言って、容疑者に事情聴取に行くという場面がありました。
このドラマは他の場面でも全部セリフで説明していて、不自然な演技が際立っていました。
とにかく主人公の独り言が多い。
キーアイテムを発見したときには「なんだこれは?」とか、うまくいかなかったときには「どうしてなんだ!」とか、ずっと一人で喋ってるんですよ…。
シナリオセンターの通信講座は、こういった映像脚本独自の「文法」を丁寧に教えてくれます。
自分のペースで課題に取り組める
これは通信講座の最大の利点だと思いますが、自分の好きな時間に課題に取り組むことができます。
通学だと講義のスケジュールに合わせて課題を仕上げなければいけませんが、通信講座は半年間で12本(平均で月2本)という大まかな枠が決まっているだけです。
筆が進むときにはペースを早めることができますし、じっくり考えたい課題には時間を多めに使うこともできます。
私の場合、1日で書けた課題もあれば数週間苦しんだ課題もありました。
物語を考え、書く習慣がつく
何と言っても一番大きいのが、書くという習慣でした。
書くためには物語を考えなければなりません。
課題として提出する場面の前後についても、物語をある程度考えなければなかなか原稿用紙を埋めることはできません。
添削が親切・丁寧
自分でも「うまく書けた」と思えていることを的確に褒めてくれています。
不要だと思って削除した箇所を、「緊張感があって良い」と指摘されると嬉しかったですね。
もちろん褒めるばかりではなく、表現がまずい箇所には的確に指導が入ります。
受講して不満だったこと
原稿は手書き&郵送のみ
上級のコースに進めばワード原稿の提出もOKですが、基礎科は手書き原稿しか認められません。
「原稿用紙の書き方を身につけるため」という理由なのですが、精神論としか思えません。
最初の2、3回くらいは手書きだとしても、それ以降はワード原稿を認めて欲しいですね…。
課題の提出は郵送のみという点も不満でした。
120円か140円の切手を返送封筒にも貼らないといけないので全12回だと切手代は3,000円を越えます。
普通郵便ですので不着リスクは0ではありませんし、郵送の日数も掛かります。
この2つは大きなマイナスポイントですね。
テキストにオリジナリティがない
「シナリオの課題とテキスト」は「シナリオ技術の基礎技術」をもとに書かれています。
内容はほぼ同じ…。
「シナリオの基礎技術」を抜粋したのが、「シナリオの課題とテキスト」といった感じです。
記述を変えているところもあるものの、別テキストにするほどの内容ではないかなと思いました。
「シナリオの基礎技術」は、小道具の使い方や時間経過といった各論の解説が詳しく、初心者は必読の名著です。
しかし昭和に書かれて以降改訂されてませんので、内容が古いのが気になります…。
課題のルールが後出し気味…
回想シーンや、「×××」(短時間経過や、フラッシュバック挿入などで使う記号)の使用禁止などのルールがテキストのどこにも明記されていません。
「初心者が使うと勉強にならない」という理由は納得できるのですが、最初から説明して欲しいです。
知らずについ使ってしまうと、添削にて指摘されます。
基礎科を修了しないと上級コースに進めない
ある程度脚本を勉強されている方には、基礎科はあまり意味が無いかもしれません。
現時点での実力次第で、上級のコースからでも始められるようなシステムがあれば良いのになと思いました。
基礎科では10回目の課題返送時に上級コースである「本科」の案内が送られてきます。
期間:前・後期の12ヶ月
内容:200字詰原稿用紙20枚×20本のシナリオを執筆
受講料:入科金10,000円 前期20,350円 後期20,350円
延長:6ヶ月の延長5,100円 その後1ヶ月4,070円
まとめ

不満点はあるものの、個人的には受講して勉強になったことが多かったです。
上でも書きましたが映像の脚本は独特の形式や表現方法やを持っています。
これはきちんと勉強しないとなかなか解りにくいと思います。
私も某脚本賞の下読みを何度かやった経験があるのですが、形式さえ整っていれば内容はともかくとして一次選考は通過することが多いです。
この講座で一通り勉強すると、脚本賞の一次選考くらいは通過できる力が確実につくと思います。
- 脚本を書いてみたいけど、書き方が全くわからない人
- 初歩の初歩からステップアップしていきたい人
- 無理の無い範囲で脚本を書く、考える習慣を付けたい人
すでにある程度習作の経験を積まれている方は、上級コースへのステップアップとして基礎科を受講されるか、シナリオ作家協会の通信講座を検討されるのも良いかもしれません。
シナリオセンターの通信講座基礎科は、特に初心者の創作意欲を引き立ててくれる講座だと思います。
シナリオライターとしての最初の一歩を踏み出すにはオススメです。