書評『文豪春秋』(ドリヤス工場) やっぱり文豪って人間的にアレな人が多い…

文豪春秋(ドリヤス工場)の書評

こんにちは。ろーれる(@Laurel_DKO0930)です。

文豪たちの有名無名のエピソードを描いたマンガ『文豪春秋』を読みました。

文学ファンには有名な話から、あの文豪のBL性向といった知られざるエピソードまでいろんな話が載っています

作風本人の人物性がかけ離れている人も多く、自分が好きな作家の意外なエピソードを知ることができるかもしれません。

  • 読書好きな人
  • 漱石や芥川など、好きな文豪のエピソードに触れたい人
  • 雑学好きな人

にオススメの本です。

どんな本? 〜概要〜

『文豪春秋』は2020年6月に文藝春秋社から出版されたマンガです。

189ページで、マンガにしては文字数が多いので読み終わるまで2〜3時間かかりました。

文豪のコアなエピソードを、それぞれ5ページのマンガ+1ページのプロフィールで描いています。

画のタッチは完全に水木しげる先生風です。

本の目次

全30話の構成です。

各回のタイトルに挙げられていない文豪も多く登場します。

『文豪春秋』目次

第一回 太宰治 走れ芥川賞

第二回 中原中也 三角形の歌

第三回 川端康成 一途の踊り子

第四回 檀一雄 支度の人

第五回 坂口安吾 皿の森の満腹の下

第六回 谷崎潤一郎 痴人の折り合い

第七回 宇野千代 色ざんまい

第八回 国木田独歩 或恋文の一節

第九回 永井荷風 僕の浮き名ん

第十回 岡本かの子 連れは悩みき

第十一回 夏目漱石 吾輩は猫が好き

第十二回 直木三十五 衆俗太平記

第十三回 石川啄木 一握の寸借

第十四回 山本周五郎 心意気は残った

第十五回 志賀直哉 暗夜交誼

第十六回 向田邦子 あ・まい

第十七回 若山牧水 酒席百景

第十八回 須賀敦子 イタリアの旅人たち

第十九回 樋口一葉 卓見くらべ

第二十回 久米正雄 憂鬱な門人

第二十一回 泉鏡花 抗菌聖

第二十二回 押入れで旅する男

第二十三回 島崎藤村 夜明けに落とし前

第二十四回 林芙美子 毀誉褒貶記

第二十五回 中島敦 採決記

第二十六回 与謝野晶子 みだれ気味

第二十七回 澁澤瀧彦 家屋敷の手帖

第二十八回 吉屋信子 女物語

第二十九回 菊池寛 春秋の彼方に

第三十回 芥川龍之介 河童の事ども

主要参考文献

あとがき

それぞれの作家の代表作をもじったタイトルになっています。

個人的に知らない作家・読んだことがない作家もいます…

森鴎外三島由紀夫は私の好きな内田百間は入っていません。

作者:ドリヤス工場さんプロフィール

ドリヤス工場(どりやす・工場)

東京都出身。2005年より漫画家として活動。

主な作品に『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』シリーズ(リイド社)、『オモテナシ生徒会』(KADOKAWA)、『異世界もう帰りたい』(ヒーローズ)など。

『文豪春秋』書評

菊池寛が語る文豪たちの有名・無名のエピソード

文藝春秋の社内に飾られた菊池寛の銅像が、文芸誌の女性編集者に文豪のエピソードを語るという構成の漫画です。

どこか抜けた菊池寛と、ゲームアプリが大好きな編集者との掛け合いはコミカルで、文豪たちの暗いエピソードもきちんと「オチ」をつけています。

太宰治の芥川賞受賞工作の話や「働けど働けど〜」の石川啄木がめちゃくちゃ遊んでた話などは、バラエティ番組でも何度も紹介されているので結構有名ですよね。

【太宰治と芥川賞】

芥川賞とその賞金が欲しくてたまらなかった太宰治は、川端康成などに「私にください」と熱望する手紙を書くが落選。川端には人格攻撃まがいの発言をされ、川端を「刺す」とまで発言。

【石川啄木の放蕩癖】

「働けど働けど猶我が生活楽にならざり」と詠んだ石川啄木。実は借金を重ねて花街で遊びまくっていた。その行状を克明に日記に書いていたが、奥さんに読まれるのが嫌でローマ字で書いた。でも奥さんは女学校卒の才媛だったのでローマ字が読めたというオチまである。

漱石の娘を巡って門人同士が争った話「小説の神様」にBL趣向があった話などは、私は知りませんでした。

文豪たちのエピソードを読むのは面白いし、雑学の知識にもなります

文豪はヤバイ

それにしても文豪と呼ばれる人たちはヤバイ人が多いです。

奥さんを友人に「譲渡」したり(谷崎潤一郎)、姪っ子(兄の娘)に子どもを産ませるという地獄のような状況を小説にしたり(島崎藤村)、特に女性関係で鬼畜っぷりを発揮している人が目立ちます。

現代なら一発でアウトですよね

プライバシーに関することを包み隠さずに書くことが、文学の条件みたいな時代だったんでしょうか。

人として欠陥があるような作家の小説が、不朽の名作だったりするのも面白いところです。

最後は 菊池寛→芥川龍之介の流れ

最後は菊池寛と芥川龍之介のエピソードで終わっています。

語り部である菊池寛自身を紹介したあとで、菊池の最大の親友・芥川龍之介のエピソードで閉めるという構成は、余韻があってすごく良いなと思いました。

芥川は命を絶つ直前に何度も菊池を訪ねているのですが、多忙な菊池には会うことができませんでした。

最期に親友の話を聞いたあげられなかった菊池の後悔が、ひしひしと伝わってきます。

まとめ

本の帯で又吉直樹さんも書いていますが、文豪たちの個性的なエピソードを知ることで、その人の作品を読んでみたいと思うのが不義です。

作家というと人を観察する力が鋭く、物事を俯瞰的に見ることができる、というイメージがありました。

実際そういう能力に長けているのだとは思いますが、この本を読んで自分のことになると盲目的になってしまう文豪が多いという印象を受けました。

プライベートに関することを公の場で、感情を剥き出しにして発信できるというのも一つの能力かもしれません。

やはり一般人とはかけ離れた思考の持ち主が多いんでしょうかね。

  • 文豪たちの面白エピソード集
  • 名作を読むきっかけを作ってくれる本
  • ちょっとした雑学が身に付く本
ABOUT ME
ろーれる
ろーれる
うどん県出身。京都在住。 映画会社に勤めています。一児の父。 映画やドラマ、旅行やお気に入りの物などについていろいろ書いていきたいと思っています。
RELATED POST